【企業向け】社労士が教える失敗しないドローンスクールの選び方

この記事は「ドローンを導入して業務効率化を図りたい」「人材開発支援助成金を活用して社員をドローンスクールに通わせたい(国家資格である無人航空機操縦士の免許(技能証明)を取得させたい)」とお考えの企業様へ、ドローンスクール選びに失敗しないためのポイントを、北海道から沖縄まで様々なドローンスクールを利用された企業様の人材開発支援助成金の申請を行ってきた社労士の視点からご紹介しています。尚、社労士自身もドローンスクールに通い、ドローン免許を保有していますので実体験に基づく記事になります

ドローンは免許や技能証明がなくても飛ばすことは可能ですが、事業として行う以上、ドローンを安全かつ正確に操縦するためにドローンスクールに通い、国家資格である「無人航空機操縦士の技能証明」を取得しておくことは、社会的信用という観点からも非常に重要です。

ドローンスクールでは、ドローンについての基本的な知識やスキル(基本操縦)などを学ぶことができます。スクールに通うことで必要最低限の知識やスキルを網羅的に学ぶことができ、ドローンを安全かつ適切に操縦できるようになります。

  • 自己流の練習では身につきにくい、安全で正確な基本操作技術を学べます。
  • ドローン飛行には航空法や電波法などの法規制に関する正しい知識を学べます。
  • ビジネスでドローンを飛行させる場合、安全な操縦技術や最低限の法規制の知識を習得しておくことは社会的信用という観点からも非常に重要です。

ドローンスクールでは座学(学科)講習、技能(実地)講習を通して、以下に関する必要最低限の知識や技術を学ぶことができます。

  • 基礎知識:歴史、飛行原理など
  • 自然科学:気象、電磁波、風など
  • 関連法制:国際条約、航空法、電波法など
  • 運用方法:安全確保、禁止事項、注意点など
  • 操縦技術:点検、整備、手動操縦のスキルなど

座学(学科)講習は殆どのドローンスクールで「対面講習」または「eラーニング」により行われています。eラーニングの場合、対面講習と異なり、その場で分からないことを質疑応答できないというデメリットもあります。

技能(実地)講習では10時間の講習が2日から3日かけて行われます。座学(学科)講習をeラーニングで受講する場合、実際にドローンスクールに通って受講するのは2~3日間の技能(実地)講習のみです。ドローンスクールの技能(実地)講習は、国土交通省の「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則」に定められている試験内容の通りに講習を行っており、訓練校によって技能(実地)講習の内容が大きく異なるといったことはありません

尚、技能(実地)講習を受けるには座学(eラーニング)の終了と、無人航空機操縦士学科試験や身体検査への申込や受験を済ませなければならず、ドローンスクールで学科試験や検査が実施されるわけではありません。全て済ませる必要があります。これらを全て終えることで、ドローンスクールにて技能(実地)講習を受けられるという流れになります。

ドローンスクールで学べることを上記でご案内しましたが、正直なところ、どこのドローンスクールでも学べる内容(カリキュラム)は変わりません。ドローンスクールの選び方を誤ると「無駄に高額な費用がかかった」「費用の割にまったく満足感が得られなかった」といった失敗につながる可能性があります。

ドローンスクールを選ぶ際には、以下の6つのポイントを重視することで失敗を防げます。

受講費用は、①入学金、②教材費、③受講料がかかり、スクールによって大きく異なります。相場としては基本講習に加えて目視外の限定変更講習を含めても30万円前後。高いところでは40万円~50万円かかるようなドローンスクールもあります。しかし、訓練内容はスクールによって大きく変わりません。むしろ殆ど同じ内容で、どこを選んでも一緒です。40万円を超えてくるような訓練校は選ぶべきではないでしょう。授業料以外の費用(修了証発行費用、学科試験費用(8,800円)、身体検査費用(5,200円)など)も含めて総額を把握することが大切です。

「講習の質が違う」「他のドローンスクールと違います」などとHPに記載されているドローンスクールもありますが、無人航空機操縦士の基本講習において他のドローンスクールと違うことを行っているところはありません。そもそも国土交通省は講習機関(ドローンスクール)に対して訓練時間10時間の中で教えるべきことが定められています。二等無人航空機操縦士実地試験実施細則(例えば8の字飛行やスクエア飛行、緊急時の着陸など)

ドローンスクールを受講される方の殆どは仕事にドローンを導入したいと考えている個人事業主や企業(企業相手なので訓練費用が高額)です。企業の場合、「人材開発支援助成金(訓練費用の内、最大75%の助成を受けることが出来る)」を活用できる可能性があるので、講習の説明など殆ど行わず、助成金の話ばかりされているドローンスクールもあります。実際に何らかの助成金を活用されたことがあれば良いのですが、皆様もご存じの通り助成金の申請はそんなに簡単ではありません。

助成金申請にドローンスクールから適切に資料を提供いただく必要があり、また、一通り申請の流れを把握しておく必要もあります。ですので、訓練の流れと助成金申請に必要な最低限の知識を有しているドローンスクールを選ぶべきでしょう。

ちなみに人材開発支援助成金の申請書には訓練校から人材開発支援助成金についての過剰な広告勧誘を受けていないか(例えばリスキリング支援コースで訓練費用の75%が必ず戻ってくるので実質25%で受けられる!)などの事項が追加されましたのでドローンスクール側は注意が必要です。

どこのドローンスクールも訓練内容(カリキュラム)はほぼ変わらないと申しましたが、座学(学科)講習で分からなかったことや聞きたいことについて、ドローンに関する豆知識や体験談を笑い話も交えながら気軽に答えてくれるようなところであれば検討されてみてもよいでしょう。ただ、入校前に見極めることは難しいかもしれませんが。受講されるのは右も左も分からない「初学者」ですから受講者の不安に寄り添ってくださる訓練校を選ぶということは重要ではないかと思います。

また、実技練習の時間が十分に確保されているかも重要なポイントで、一人一人実地講習を行ってくれるところもあれば、複数名まとめて講習を行うところもあります。講師の人数が生徒の人数に対して少なすぎると、講師が生徒一人ひとりについて教える時間が短くなってしまいます。無駄な待ち時間が発生します。待ち時間中、講師は違う方の訓練をしているため当然質問なども行うことが出来ません。

ドローンスクールには、そのスクール内に練習場があるところと、実地講習の度に市民体育館などのスペースをレンタルしたり、公園や河川敷で飛行許可を取得して講習を行っているようなところもあります。後者の場合、ドローンの飛行訓練が雨天や強風の影響で中止されることもあり、日程と場所が頻繁に変更されることも少なくありません。尚、修了審査は飛行の高さ(3.5m)や離着陸地点との距離(8.5m)等が決められていますので、修了審査に関しては市民体育館等を使用したものになってしまうことは致し方ないかと思われます。屋外練習場があるドローンスクールもありますのでそのような訓練校は選んでもよいかと思います。

人材開発支援助成金を利用するにあたっては訓練日時と場所が変更される度に届け出る必要がありますので、そのドローンスクール内に屋内練習(訓練)場があるかどうかも選ぶ上で重要です。就業時間を使って訓練を受ける以上、頻繁に予定が変更されると御社の都合にも支障が生じてしまいます。

また、日程が延期になればなるほど学科で習得した知識なども薄れていくため、最悪、修了審査に落ちたといった事態にも繋がりかねません。そうなるとさらに再試験費用が発生してしまいます。中には再試験費用がしばしばかかるようなドローンスクールもあるようなので注意してください。

そして何より、問い合わせをしても全く電話に出ない、折り返しもないようなドローンスクールは選ぶべきではありません。他のドローンスクールをお勧めします。尚、当事務所ではお勧めのドローンスクールのご紹介も行っておりますので、不安な方はお気軽にご相談ください。

二等無人航空機操縦士の技能証明を取得するにあたってはどこのドローンスクールを選ばれても大きな差異はありませんが、例えば専門分野(空撮・農薬散布・屋根外壁・測量・橋梁点検・インフラ点検など)に特化したコースを設けていて、かつ、訓練内容が充実しているようなドローンスクールであるかどうかも選ぶポイントでしょう。

二等無人航空機操縦士の基本講習の内容に関してはどこも同じですので、専門分野に特化したコースを受講される予定がなければ、こうした基準で選ぶ必要はありません。また、専門分野に特化したコースがあるから無人航空機操縦士の基本コースが高額といったドローンスクールはあまり推奨はしません。(講習内容はどこも変わりません。)

ドローンをビジネスに導入する上で、無人航空機操縦士資格の取得がゴールではありません。ドローンスクールで学べるのは必要最低限の知識と操縦技術であり、高度なテクニックや仕事に使えるレベルの技術はドローンスクールの基本講座では学べません。ですので、訓練終了後も気軽に相談できるような体制が整っていたり、仲間同士のコミュニティが充実した訓練校を選ぶことが重要です。

ドローンスクールには、訓練終了後のアフターサポートとして、実際にドローンでの初仕事に補助者として同行していただけたり、機体をレンタルしてくれるようなところもあります。中にはドローンショーに関するお仕事へのボランティア参加ができるようなスクールもあるようです。自分だけでは体験できないことも経験することができるためお勧めです。コミュニティが出来上がっているような訓練校もいいでしょう。

ここまで、「社労士が教える失敗しないドローンスクールの選び方」と題して、5つのポイントをご紹介させていただきました。

各業界における専門コースの受講を予定していなければ(基本講習と目視外のみなど)、費用とドローンスクール内に訓練場があるかなど設備環境や通いやすさで選ぶのが正解と思います。訓練の内容よりも助成金の話ばかりされるドローンスクールは避けた方がよろしいかと思います。訓練を修了された方の口コミなども参考にされてみるのも良いかもしれませんね。

また、ドローンスクールに申し込んではみたものの、免許取得までの流れをわかり易く示された説明資料を提示してくれるようなドローンスクールを選んでみるのも良いかと思います。そのようなドローンスクールであれば、助成金申請に必要な資料の準備なども予めきちんと行っており、貴社の助成金申請もスムーズに進めていけるかと思います

以上、ドローンスクール選びの参考になれば幸いです。

投稿者プロフィール

ドローン助成士くん 編集部
ドローン助成士くん 編集部
ドローン免許を保有の社労士として、ドローンをビジネスに活用されたい企業様向けに、社員にドローンの国家資格取得を始めとする人材育成に活用できる助成金や、機体購入やシステム導入などに活用できる助成金のご提案や申請手続きのサポートを行っております。