制度概要
在宅勤務(リモート)とは、インターネットなどの情報通信技術を活用して、場所にとらわれない柔軟な働き方で、勤務場所から離れて働く「テレワーク」の一つ、労働時間の全部または一部を自宅で行う勤務形態です。在宅勤務導入には多くのメリットがあり、経営改善のために戦略的に在宅勤務を活用する企業が増えています。在宅勤務(リモート)の導入には以下のようなメリットがあります。
メリット
- 移動時間の有効活用
- 育児・介護・転勤を理由とする離職の防止
- 遠隔地の人材や障がい者など雇用対象の拡大
- 災害非常時の事業継続
- コスト削減
デメリット(課題)
- 労働時間の管理が難しい
- 進捗状況などの管理が難しい
- 仕事の評価が難しい
- コミュニケーションが難しい
- 情報セキュリティの確保
制度導入の全体像
在宅勤務導入を円滑に進めるためには、まずは導入の手順および全体像について把握した上で、自社の実情に応じた導入課題を明らかにし、対策を検討していく必要があります。
制度導入における労務課題
在宅勤務の実施については、労働時間の管理や進捗状況の管理、コミュニケーション、情報セキュリティ、評価等の課題を検討しなくてはなりません。また、オンオフの切替が上手くいかないことによる長時間労働やメンタルヘルス対策など、従業員側の課題も検討が必要です。
労働時間制度の選択
在宅勤務の場合、労働時間とプライベートの時間が混在するという問題が発生してきます。在宅で勤務させる場合、まず、労働時間について、しっかりと分けて勤務させるのか、勤務時間とプライベートを混在させたまま勤務させるかなど、よく検討した上でフレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制の導入を考える必要があります。
在宅勤務の費用負担
在宅勤務を行う際、通信費や水道光熱費、消耗品費・郵送費等を誰が負担するのかという問題が生じます。これらの費用は必ずしも使用者が負担する必要があるものではありませんが、労使のどちらが負担するか、使用者が負担する場合には限度額、労働者からの請求方法等について十分に話し合いを行っておく必要があります。
労働災害と安全配慮義務
在宅勤務を行う労働者についても、業務災害や通勤災害が発生した場合には、使用者責任が問われますので、労働安全衛生法の関係諸法令に基づき、過重労働対策やメンタルヘルス対策を含む健康管理、作業環境の整備を行う必要があります。
就業規則の見直し
在宅勤務制度導入にあたって、適用される労働時間制度や費用負担、また、情報セキュリティや、在宅勤務特有の安全衛生に関する規定、服務規律を就業規則や別規程(在宅勤務規程など)において定めておく必要があります。
在宅勤務制度導入に活用できる助成金
社員の在宅勤務(テレワーク)環境を整え、実際に在宅勤務に切り替えた場合、厚生労働省や各自治体から助成金・補助金が受け取れる可能性があります。受給するには業種や社員数、導入環境などの条件が定められていますが、幅広い業種・規模の企業に適用できるように設定されています。
人材確保等支援助成金
テレワークを新規に導入する中小企業事業主向けに、テレワーク用通信機器の購入や就業規則の変更等にかかった費用の一部が助成されます。
ⅠT導入補助金
労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
導入事例
- 会社名
- 株式会社コンプライアンス
- 業種
- 情報通信業
導入目的
- 育児中の社員の仕事と家庭の両立を図る。
- 通勤時間の削減による生産性向上を目指す。
- 遠隔地での優秀な人材の確保。
- 災害時の事業継続対策における体制整備
取り組み内容
- 在宅勤務時のICT環境として、コミュニケーションツール、労務管理ツールを試行用に整備。
- フレックスタイム制の導入
- 現行の就業規則に在宅勤務に必要な規定を補い、「在宅勤務規程」や「申請・許可書」を策定した。
導入サポート
人材確保等支援助成金(テレワークコース)を活用して費用を抑えることが可能です。
導入キット
会社の実情に応じたテレワーク勤務規程を作成します。情報共有の方法、セキュリティ対応、在宅勤務の服装など、会社の方針から細かい実務面まで、決めるべき事項を検討し規定します。
初期導入フルサポートプラン
フレックスタイム制やみなし労働時間制など労働時間制度を含む各種労務課題の解決のための相談及び導入コンサルティングと規程作成を併せてご提供するフルサポートプランです。